大型特殊免許とは?運転できる車両・費用・取得方法を解説
大型特殊免許は、多くの作業現場で活躍している「大型特殊自動車」を運転することができる免許です。
大型特殊自動車という呼び名になじみがない方も、ブルドーザーやクレーン車、除雪車など具体的な名前を挙げればイメージしやすいでしょう。大型特殊免許を取得すれば、多くの作業現場で働くことができます。
ここでは、大型特殊免許でできることと、取得する方法を紹介します。運転できる具体的な車種や、効率的でお得な取得方法を解説しているので、ぜひ読んでみてください。仕事の幅を広げるためにも、大型特殊免許について学んでいきましょう!
目次
大型特殊免許取得で具体的にどんな車を運転できるの?
大型特殊免許で運転できる車種一覧
大型特殊免許では、「大型特殊自動車」はもちろん、その他にも「小型特殊自動車」と「原動機付自転車」を運転することができます。道路交通法では以下のように分類されています。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
大型特殊自動車
- 全長・12メートル以下
- 全幅・2.5メートル以下
- 全高・3.8メートル以下
- 最高速度・制限なし(ただしメーカーの自主規制では、時速49キロ以下)
- 排気量・制限なし
小型特殊自動車
- 全長・4.7メートル以下
- 全幅・1.7メートル以下
- 全高・2.0メートル以下
- 最高速度・時速15キロ以下
- 排気量・制限なし
原動機付自転車
- 排気量50cc以下
- ちなみに小型特殊自動車に限り、原付免許以外の運転免許であれば、すべての運転免許で運転することが可能です。
大型特殊自動車の具体的な例
それでは次は、大型特殊自動車の代表的な車種を紹介します。大型特殊自動車には、さまざまな車種がありますが、どれも生活に欠かせない身近なものばかりです。
- ・車種1 ショベルローダー
- ・車種2 ロードローラー
- ・車種3 除雪車
- ・車種4 フォークリフト
- ・車種5 農耕トラクター
- ・車種6 田植え機
- このように、建設用重機から農耕用の車両まで、多くの働く車を運転することができます。
大型特殊免許と合わせて取得したい!現場作業に必要な資格
多くの作業現場で活躍する大型特殊免許ですが、さらに現場で作業に役立てるために、必要な免許があります。ここでは、そうした免許を紹介していきます。
現場作業には作業資格も必要!
大型特殊免許は、大型特殊自動車の「走行」に関する免許です。そのため工事現場などで作業を行うときには、大型特殊免許だけでなく「作業資格」も必要です。操作する車両によって必要となる作業資格も異なっているため、注意しましょう。主に以下のような資格が必要です。
車両系建設機械
3トン以上の建設重機を運転するために必要な特別講習です。
- (整地・運搬・積込み用及び掘削用)
- (解体用)
- (基礎工事用)
の三つに分かれています。建設現場で働くためには、この資格も必須と言えるでしょう。
移動式クレーン運転士免許実技教習
移動できるタイプのクレーン車を扱うための教習です。この他にも「移動式クレーンにともなう玉掛け技能講習」などの講習があります。
フォークリフト運転技能講習
貨物の積み降ろしで活躍するフォークリフトを扱うために必要な講習です。大型特殊免許を持っていれば、11時限の講習で取得できます。
けん引免許
トラクターで750kg以上の車をけん引する際に必要な免許です。大型特殊免許と一緒に取得すれば、農耕用トレーラーでのけん引などに活躍します。
これらの教習の内いくつかは自動車教習所で、大型特殊免許の教習と一緒に受けられることもあります。またこれらの他にも、作業現場によっては別の資格が必要なこともあります。操作する予定の車種や働く現場に合わせて、あらかじめ確認しておきましょう。
大型特殊免許の取得条件と方法|教習所・一発試験・合宿
取得に必要な条件
大型特殊免許を取得するためには、いくつかの条件があります。まずは必要な条件を確認しておきましょう。
- 年齢 満18歳以上であること。
- 視力 両眼0.7以上・片眼0.3以上であること。
- または片眼の視力が0.3に満たない場合は、他眼の視野が150度以上で、視力が0.7以上であること。
- 色彩識別 赤・青・黄の識別ができること。
- 聴力 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえるものであること。(補聴器により補われた聴力を含む)
- 運動能力 自動車等の運転に支障を及ぼす恐れのある四肢又は体幹の障害がないこと。または、補助手段を講ずることにより運転に支障を及ぼす恐れがないと認められること。
このように基本的な条件は、普通自動車免許とそれほど変わりません。
さらに、これらの基本条件に加えて、教習所に通うためには、普通自動車免許の所持が前提になっていることも多いようです。ただし、普通自動車とは車高や制限速度など、さまざまな違いがあります。教習を受ける際は、車種の違いを意識して臨むようにしましょう。
免許取得方法
大型特殊免許も、その他の運転免許と同じように教習所に通うか、運転試験場で直接試験を受けるという二通りの方法があります。それぞれの特徴とメリットを紹介します。
教習所の場合
教習所に通う場合は、学科教習と技能教習を受けることになります。普通自動車免許を持っていれば、学科が免除されて技能教習を6時限受けるだけで取得できます。
卒業検定日を含めて4日程度で修了できるため、合宿で取得することがおすすめです。合宿なら間を置かずに取得できるので、今の仕事で早く取得するように言われていたり、次の仕事を探すために取得を目指していたりする方でも、時間的な負担になることがありません。
また、大型特殊免許の他にも、フォークリフトや移動式クレーン車の資格教習をセットで受けられることもあります。これらの教習も受ければ、すぐにどのような資格教習が受けられるのかも、あらかじめ確認しておくことが必要です。
一発試験の場合
一発試験は教習所に通わずに、運転試験場で試験を受けることです。教習を受けないので、費用と時間がかからないことがメリットです。
しかし基本的には、新規の取得ではなく、再取得を目指すための方法です。教習所を卒業した場合は、技能試験が免除されますが、一般試験では、学科試験と技能試験の両方を受けなければなりません。
しかも大型特殊自動車は、普通自動車以上に特殊な操作が必要なため、指導を受けて練習を受けることが必要です。また実際の作業に必要な資格教習も、独学か別の機会に教習を受ける必要があります。
大型特殊免許取得方法比較表
取得方法 | メリット | デメリット | 費用(目安) | 期間(目安) | 難易度 |
---|---|---|---|---|---|
教習所 |
|
|
30万円〜50万円 | 3ヶ月〜6ヶ月 | 中(教官の指導を受けながら確実にスキルを習得できる) |
一発試験 |
|
|
10万円〜20万円 | 1ヶ月〜3ヶ月 | 高(独学でしっかりと準備する必要がある) |
合宿免許 |
|
|
20万円〜40万円 | 1ヶ月〜2ヶ月 | 中(教習所と一発試験の中間レベル) |
一発試験にかかる費用と注意点
特殊な操作方法があるため、取得が難しいと言われている大型特殊免許ですが、事前に普通自動車運転免許を取得していれば、運転免許センターで一発試験を受けることができます。
費用や時間をかけずに取得することができるため、すぐに大型特殊免許を取りたいという方には、役立つ試験方法です。その取得の際にかかる費用と、注意点について見ていきましょう。
大型特殊免許の一発試験にかかる費用
一発試験の場合、教習費用は必要ありませんが、以下の手数料がかかります。
- 試験手数料 2,600円
- 貸車手数料 1,450円
- 免許証交付手数料 2,050円
費用の合計金額は6,100円です。教習所を利用する場合は、普通免許を所持していても8~9万円前後の費用がかかるので、一発試験なら大幅に費用の削減を行うことができます。
一発試験の注意点
費用が圧倒的に安い一発試験ですが、受ける際に注意すべきことがいくつかあります。その点も考慮し、一発試験を受けるかどうか検討してみてください。
何度も試験を受ける可能性がある
大型特殊車両は、一般車両と比べると、操作方法が複雑で難しいという特徴があります。発進だけでも点数に関わるポイントがたくさんあるため、中には進むことすらできずに試験が終わってしまったという方もいます。
シートやミラーの調整はしっかりとできているか、変速レバーは何速に入れているか、バケット操作は上手くできているか、死角の確認はできているかなど、他にもさまざまなポイントがあるので、これらを全て認識しておかなくてはいけません。何十回も試験を受け直すことになる可能性もあるので、その点は十分に注意するようにしましょう。
もちろん試験を受ける回数に規制はありませんが、受け直した分、時間や費用は増えてしまいます。
試験は平日のみしか受けられない
運転免許センターで試験が受けられるのは、平日のみです。そのため土日祝日が休みの職に就いている方は、試験を受ける時間が取れない可能性があります。
サービス業をしている方や、試験のために休みをもらえるという方は、問題なく平日に試験を受けることができますが、平日に休みが取れないという方は、取得が難しくなってしまいます。何度も試験を受けるとなると、なおさら難しくなるでしょう。
練習場所が限られる
勤務先の会社が大型特殊免許の取得を推進しているのであれば、会社の車両を利用して敷地内で練習したり、他の社員から操作方法を教えてもらったりすることができます。
しかし、そのような勤務先にお勤めでない方は、独自で練習するという方法しかありません。1時間単位で練習をさせてくれる教習所や、練習コースを提供してくれるトラック協会もありますが、そのような施設が近くにないという方は、なかなか練習することができないのではないでしょうか。
特に大型バスや大型トレーラーなどは、身近にない車両なので、一般的には練習が難しいと言われています。一発試験を検討する際は、このような練習場所の確保も必要であるということを、しっかりと頭に入れておきましょう。
操作方法を身に着けにくい
操作方法に関してはネットで調べられるので、実際に練習せずとも試験を受けることができます。しかし、一度も練習せずに車両を操作した場合、想像していたよりも難しいと感じる場合があります。特に大型特殊車両は、普通車両とは作りも重さも異なるので、普段運転する感覚とかなりの差が生まれてしまうのでしょう。
特にハンドル操作が難しく、グニャグニャと蛇行運転になってしまうこともあるので、注意が必要です。また、操作に
自信がないという方は、教習所での試験も視野に入れておきましょう。
大型特殊免許取得方法比較表
取得方法 | メリット | デメリット | 費用(目安) | 期間(目安) | 難易度 |
---|---|---|---|---|---|
教習所 |
|
|
30万円〜50万円 | 3ヶ月〜6ヶ月 | 中(教官の指導を受けながら確実にスキルを習得できる) |
一発試験 |
|
|
10万円〜20万円 | 1ヶ月〜3ヶ月 | 高(独学でしっかりと準備する必要がある) |
合宿免許 |
|
|
20万円〜40万円 | 1ヶ月〜2ヶ月 | 中(教習所と一発試験の中間レベル) |
大型特殊免許取得に必要な日数と費用は?
最後に大型特殊免許を取得するために必要な日数と、おおまかな費用を確認しておきましょう。
大型特殊免許に必要な費用
教習所の費用
教習所での費用は普通自動車免許を持っているかどうかで、受ける教習の数が違うので、費用も変わってきます。普通免許がない場合は、16~17万円前後、ある場合は8~9万円前後で取得することができます。免許がある場合、合宿でも10万円程度で取得することが可能です。
試験場での費用
受験料、試験車使用料、免許証交付料込を合わせて6,000~7,000円ほどです。地域によっても地域によって若干の差があるので、事前に運転試験場のホームページなどで調べておくと良いでしょう。
大型特殊免許は給付金を利用できることもある!
さらに、大型特殊免許の取得には、「教育訓練給付金制度」の利用も可能です。
この制度は再就職を目指す方を支援する制度で、「入学金と受講料」を合わせた20%(最大で10万円)が支払われます。さらにフォークリフトや移動式クレーン車の資格教習も対象になる場合もあります。
ただし、再教習にかかった費用は支払われないので注意しましょう。この制度の申請は、初回なら雇用保険の加入が1年以上、二回目以降なら3年以上で、そして在職中か離職から1年未満であることが条件です。詳しい条件・対象は最寄りのハローワークで確認してみましょう。
大型特殊免許取得に必要な日数
先にも紹介しましたが、取得に必要な日数をより詳しく確認しておきましょう。
大型特殊免許は、普通自動車免許などと比べて、短期間で取得することが可能です。普通自動車免許を持っていない場合、学科教習は22時限、技能教習は12時限です。
持っている場合は、技能教習6時限だけで取得することができます。ちなみに、大型特殊免許は教習所に入学してから3ヵ月以内に卒業する必要があります。間をおいて期限を過ぎてしまわないためにも、ぜひ合宿での取得を検討しましょう。
大型特殊免許を取得すると未来が広がる(まとめ)
大型特殊免許について一通り紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
これまでは難しい免許というイメージがあったかもしれません。しかし、実際には普通自動車免許を持っていて、教習所に通えばすぐに取得することができます。多くの作業で必要になる免許で、取得までの必要日数も少ないので、必要だと感じたらすぐに取得してしまいましょう。
特に合宿免許なら最短4日、実際の作業に必要な資格も取得することができます。大型特殊免許を取得して、あなたのキャリアアップを目指しましょう!