車両保険には加入しておくべき?判断のポイント

2-1   自動車保険に加入する際、まず迷うことがあります。それは「車両保険を付けるべきかどうか」ということ。補償を手厚くすれば万が一のときに安心ですが、その分、当然のことながら保険料は高くなります。 車両保険に加入すべきか否か。それを判断するために、車両保険について正しく理解しておきましょう。  

車両保険は必要ない?

  2-2   車両保険は「自分の車」を補償してくれる保険。自分が加害者となり、相手の車に傷などを付けた場合は「対物賠償保険」で補償されるため、「車両保険は必要ない」と考える人もいます。しかし、「自分は交通事故の被害者だ」と思えるようなシーンにおいても車両保険が必要になることが少なくないのです。   というのも、自動車同士の事故の当事者になった場合、必ずといって良いほど過失割合が決められ、互いに損害賠償の支払いが発生します。過失割合は交通ルールに則って決められますが、片方が完全に停車している場合を除き、100対0になることは、ほぼありません。   例えば、直進車と右折車がぶつかった際、本来なら直進車が優先されるため、「右折車の方が一方的に悪い」と思うかもしれません。しかし、自動車の運転には「周りを注意して事故を回避する義務」があるので「注意していたら、ぶつかる前に回避できたのでは?」と判断され、多くの場合、直進車側にも一定の過失割合が求められます。ちなみに、右折車の側に過失割合が多い傾向にはありますが、一般的に右折車と直進車の過失割合は80対20、もしくは70対30くらいかも……。   あなたが安全に運転にしていたとしても、強引に曲がってきた右折車とぶつかってしまった場合、仮に過失割合が80対20と判断されたとすると、全損害のうち2割は直進車(あなた)の責任であるため、「相手側の損害の2割分」と「自車両の損害の2割分」を負担しなければなりません。このとき、車両保険に加入していないと「自車両の損害の2割分」は自己負担となります。  

車両保険に加入すれば、年間の保険料は倍程度に増える

  2-3   車両保険の保険料は、車の種類などの他、各等級によっても変わります。補償内容によりますが、一般的には車両保険を付ける場合と付けない場合とを比べると、保険料が倍程度は違ってくるでしょう。   もし、あなたが数十万円程度の中古車に乗っているのなら、年間の保険料を倍にしてまで車両保険に加入する必要はあるでしょうか?反対に、高価な新車を購入したのなら、どうでしょう?車両保険は、その他保障の内容により、当て逃げやイタズラなどにも対応してくれるため、「安心を買う」という意味でも車両保険には加入しておいた方が良いかもしれませんね。  

車両保険に加入前には保険料や万が一に必要な修理費のシミュレーションを

  2-4   車両保険に加入していれば「自分の車に何かあったとき、修理費用などを心配する必要がない」という安心感が得られます。   「車両保険に加入はしたいけど、保険料が……」と不安に思うのであれば、免責金額の設定を考えてみてはいかがでしょうか。例えば、免責金額を10万円に設定すれば、修理代などの損害額のうち10万円は自己負担ということにはなりますが、保険料を抑えることができます。   どのくらいの修理費用が必要なのか、修理費用を自費で支払うのは可能なのか、事故に遭ったとしてもこの車を乗り続けるのか、といったことをじっくり考えたうえで車両保険に加入するかどうかを判断すると良いでしょう。   image   筆者:佐々木茂樹/ファイナンシャルプランナー   1968年、北海道旭川市生まれ。1986年に旭川北高校を卒業、旭川市内の老舗ホテルに勤務。1988年より道内の郵便局に転職、郵便・貯金・保険業務を経験。在局した17年間のうち10年間保険業務に携わり、その間にAFP、2級FP技能士資格を取得。2006年より、三井住友海上きらめき生命でファイナンシャルコンサルタントとして勤務。2011年、同社を退職し、ファイナンシャルサービス株式会社を設立。   ■HP:https://financial-service.jp/